ハウスメーカーのトラブルや不満がなくならない理由営業と現場の「ズレ」を建築家が解説

一生に一度の家づくり。「ハウスメーカー トラブル」「評判」と検索して、ネット上の辛辣な口コミやYahoo!知恵袋での後悔の声を見てしまい、不安になっている方も多いのではないでしょうか。

「大手だから安心だと思っていたのに…」「契約前の営業担当との話では理想のマイホームが出来ると思っていたのに…」
なぜ、こうしたトラブルは後を絶たないのでしょうか? これは単なる「担当者の当たり外れ」だけの問題ではありません。ハウスメーカーという組織が抱える「分業制(伝言ゲーム)の構造」が原因であることが多いのです。

私は大手住宅メーカーの設計担当として経験を積んだのち、設計事務所でも多くの現場を見てきました。その経験から言えることは、「つくる人(現場)」と「約束する人(営業)」が分業されている点です。

この記事では、なぜハウスメーカーでは「言った言わない」「思っていたものと違う」というトラブルが起きやすいのか、プロの立場で解説します。 後悔しない家づくりのために、ぜひ知っておいていただきたい話です。

トラブルの温床は「伝言ゲーム」にある

ハウスメーカーと設計事務所の最大の違いは、「分業制」か「一貫制」かという点です。
大手ハウスメーカーは、効率よく家を建てるために業務が完全に分かれています。

・営業マン: お客様と契約を結ぶプロ(お客様の窓口、要望の聞き取り)
・設計担当: 図面を作成するプロ(要望の図面化、建築関連の法律をおさえながら)
・現場監督: 工事を監理するプロ(図面通りに現場が出来ているかを監理)

ここで起きるのが「伝言ゲームの難しさ」です。

お客様が営業マンに熱意を持って伝えた「こだわりの要望」は、設計担当に伝えられ建築をつくるために図面化されます。そして、現場監督に図面が渡る頃には、「なぜそうしたかったのか」という想い(ニュアンス)が抜け落ちてしまっていることが多々あります。

これが、「図面通りかもしれないけど、当初に営業マンに伝えていた内容と違う」「自分が思い描いていたものと違うものが出来上がっている」というトラブルや不満の正体です。(ちなみに、契約内容や図面通りに現場が出来ていないというのは全くの業務上のミスです。)

伝えていたものと違うものが出来上がっている。しかし、現実的には契約内容通りだし、図面通りに出来ている。責任の所在が明確にならず「言った言わない」という状況になります。契約や図面の細かい内容は普通の人は分からないので基本的に信用するしかないのです。

ハウスメーカー特有の営業→設計→現場監督という仕事の流れの中で、複数のお客様のかいの要望のニュアンスまで引き継いで共有していくことは、住宅メーカーという分業制の組織では難しいと個人的には考えています。

住宅メーカーでの家づくりは、決まった標準仕様とオプションの中から選択して組み合わせていくという車のような工業製品と同じと考えるのが基本的にはマッチしているように思います。そのような割り切った考え方であれば、住宅メーカーはとても効率良く、ストレスなく家を建てられるので良い選択肢になると思います。

イメージした家づくりをしたい

住宅の場合は、お客様それぞれで生活のスタイルも色や素材の好みも異なります。細かいニュアンスも含めてフルオーダーでの家づくりを求めるのであれば、設計事務所という選択肢が良いと思います。

設計事務所の場合は要望の聞き取り段階から建物の完成まで、一貫して一人の建築家やスタッフが担当するというのが一般的でそれが大きなメリットになるからです。

設計事務所の業務工程は簡単には次のようになります。

基本設計:打ち合わせを何度も繰り返す中で、お客様の求めるニュアンスを少しずつ理解しながらプランニングを行います。実施設計:基本方針が確定し、それを図面に表現して作図を行います。
工事監理:図面の表現の意図を職人さんに伝えて、図面通りに形にしてもらう。

設計事務所の場合は完成まで同じ担当が一貫して携わるので、「図面通りかもしれないけど、当初に営業マンに伝えていた内容と違う」「自分が思い描いていたものと違うものが出来上がっている」といったトラブルが少ないと思われます。
気に入った建築家にお願いすることができれば完成後のメンテナンスまで相談することもできます。

今までのお話は、私の経験をもとに解説させていただきました。

ハウスメーカーは「企業なので安心感がある」「気軽に展示場に入って検討できる」「金額や仕様が明確である」「担当者が選べず分業制である」「細かい要望に弱い」
設計事務所は「個人経営が多いので心配」「フルオーダーなのでなんでも出来るが金額が心配」「気に入った建築家であれば完成後のメンテナンスまで同じ人に相談できる」「細かい要望まで理解して提案してくれる」


高額な家の建築ですから、後々後悔しないためにも予備知識としてメリットデメリットを理解した上で検討する材料にしてもらえればと思います。

後悔しない家づくりへの一歩を踏み出しましょう

もし、あなたが本記事で解説したような「理想のイメージを追求したフルオーダーの家づくり」をご希望であれば、信頼できる建築家や設計事務所に相談することをおすすめします。後悔のない家づくりのためには、専門家との「一貫したコミュニケーション」と「あなたの要望を深く理解してくれるパートナー」が必要です。

クローバー建築設計事務所は、住宅をメインにカフェなどの店舗、リノベーション、建築全般の設計監理を行う設計事務所です。 住宅では風通しが良く、心地良い光が入り、植物と共に暮らせるような居心地の良い住まいをご提案します。お客様のこだわりや悩みを、直接プロの建築家にご相談ください。

クローバー建築設計事務所 萩原 進
(千葉県船橋市の設計事務所・建築家)